T.i.G skyseaとREAL-Tのビーフはなぜ始まった? 発端とされる噂から「Sky Sea」まで
2026年11月1日、T.i.G skyseaが「Sky Sea(REAL-T dis)」のMVを公開した。この曲だけ見ると、T.i.GがいきなりREAL-Tにディスを飛ばしたようにも見える。ところが、9月にT.i.Gを名指ししたのは怜之で、そのMVを監督したのがREAL-T。そして、二人の因縁を取り上げる動画は、それより前の6月にすでに出ていた。
発端としてSNSで語られる「アメ村のトマトの件」は、どこまで分かっているのか。そして、なぜT.i.Gは怜之ではなくREAL-Tの名を曲名に掲げたのか。公開された曲とクレジットを軸に、順を追って見ていきたい。
発端とされる「アメ村のトマトの件」と、阿修羅MICの名前
SNSでこのビーフを追っていると、「アメ村のトマトの件」という言い回しが出てくる。大阪・アメリカ村での過去の揉め事を指すらしい。T.i.Gと阿修羅MICの間で先に確執があり、その延長でREAL-Tとの話になったと見る投稿もある。T.i.GとREAL-Tが一度話し合ったことがある、という話もここに重なっている。
阿修羅MICの名前が出てくる背景には、T.i.Gとの対立が以前からネットで語られてきたことがある。T.i.Gは2024年5月に「邪魔ダ」を配信しており、この曲も阿修羅MICとの確執をめぐる話と結び付けて語られることがある。ただし、曲の公開日を確認できることと、その頃にREAL-Tとの揉め事まで始まっていたと確認できることには距離がある。
「トマトの件」の具体的な中身や、誰がいつ関わったのかについては、今回たどれた情報はSNSの要約や推測が中心だった。発端を説明する説としては押さえておきたいが、曲が出るまでの経緯をすべてこの話で説明できるかは分からない。
5月末〜6月 REAL-Tの復帰直後には、すでに話題に
5月31日、REAL-Tはアルバム『SHIN SCAR』を配信し、出所していたことを明らかにした。「脛の傷」のMVも同日に公開されている。
翌6月1日には、YouTubeのヒップホップ解説チャンネル「ちびペンギン」が、REAL-Tの復帰とT.i.Gとの因縁を結び付けた動画を公開した。これで確認できるのは、6月初めには二人の名前がすでに対立の文脈で語られていたということ。発端の日時は分からないものの、9月の「TANUKI」をきっかけに初めて二人が結び付けられた、という時系列ではない。
9月4日 怜之が「TANUKI」を公開。監督はREAL-T
話が曲としてはっきり見えるのが、9月4日。怜之が「TANUKI(t.i.g sky sea dis)」のMVを公開した。タイトルでT.i.Gを名指しし、歌詞では相手の言動や、直接会おうとしたとする経緯に触れている。ここで語られているのは、怜之から見た話だ。
そして動画概要欄には、監督としてREAL-Tの名前がある。ラップをしているのは怜之で、映像のクレジットに入っているのがREAL-T。この関わり方の違いが、あとで「Sky Sea」を聴くときに効いてくる。REAL-TがMVに関わったことはクレジットで確認できるが、歌詞のどこまでを共有していたか、制作の経緯までは分からない。
直後に出た「バダ・ハリ」はアンサーだった?
9月上旬には、T.i.Gが「バダ・ハリ」を配信した。「TANUKI」の直後というタイミングもあって、返答のように聴こえる部分があってもおかしくない。実際、歌詞にはやられたら返すという趣旨のくだりもある。
ただ、曲全体では海外を行き来する生活や、自分の周りの仲間についてもラップしている。公開歌詞に怜之やREAL-Tの名は出てこない。ビーフを知ったうえで聴けば引っかかる言葉はあるものの、曲そのものを「TANUKI」へのアンサーと特定する手がかりは薄い。
9月中旬には、解説チャンネルがT.i.G側から出た情報をまとめた動画を公開し、その数日後には、この件に関する動画の非公開についてのお詫びも出している。当時どんな話が広まっていたかを知る手がかりにはなるが、見出しや切り抜きだけでは、元の発言がどんな文脈だったかまでは追えない。
10月後半 SNSでは怜之の「NOGURI」も話題に
SNSの追跡投稿では、怜之が「NOGURI」という2曲目のディスを出したとも紹介されている。タイトルは韓国語でタヌキを指すとされ、前作「TANUKI」とのつながりを意識した曲だと受け取った人もいたようだ。
ただ、今回確認できたのは二次投稿まで。元の公開先や正確な投稿日を確認できなかったため、時系列では「秋にそうした曲が話題に上った」という扱いにしておきたい。
11月1日 T.i.Gが「Sky Sea」でREAL-Tを名指し
11月1日、T.i.Gが自分のチャンネルで「Sky Sea(REAL-T dis)」のMVを公開した。映像の監督はT.i.G本人、ビートはHomunculu$。11月3日付で、配信サービスにも「Sky Sea」として出ている。配信版のタイトルからは相手の名前が外れているが、MVでは誰に向けた曲かを明示している。
歌詞を読み比べると、「TANUKI」で怜之が持ち出した和歌浦の場所に、「Sky Sea」でもT.i.Gが触れている。怜之が会いに行ったとする話に対し、T.i.Gは自分は今もそこにいるという趣旨で返す。歌詞の中の出来事を裏付けるものではないが、どこに反応しているかを考える材料にはなる。
さらにT.i.Gは、もともとは自分とREAL-Tの間の話だった、という趣旨をラップしている。私にはここが、この曲で一番大事な部分に聞こえる。「TANUKI」の言葉を拾って返しながら、話の相手としてはREAL-Tを指名し直した。そう読むと、9月に自分を名指しした怜之の曲を受けて、11月になぜREAL-Tの名前をタイトルに入れたのかがつながる。
11月7日時点 REAL-T本人のアンサーは出た?
11月7日時点で、確認できた公開作品の中には、「Sky Sea」に対するREAL-T本人名義のアンサー曲は見当たらなかった。
今から追うなら、「TANUKI」の概要欄でREAL-Tの名前を確認してから、「Sky Sea」の歌詞でT.i.Gが誰に話しかけているかを意識して聴くと分かりやすい。9月は怜之がマイクを握り、REAL-Tは監督欄にいた。11月には、T.i.GがそのREAL-Tを曲名に引っ張り出した。発端の噂に答えが出ていなくても、この二曲には、誰が誰に向けて話しているのかが変わる瞬間が残っている。




コメント