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【8話】実録|東京ギャング物語 ~ギャングとヤクザ~

ネット小説
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著:アンダギーサンダギー

※この話は実話を基にしたリアルな物語ですが、実在する団体や個人名を伏せるために、至る所に仮名を使っています。


前回のエピソードはこちらから

ギャングとヤクザ

Gさんの兄貴分から借りた車は繫華街のスナックの前に停めてあるとの事で、その店に向かうと目の前に黒塗りのセダンが停まっていた。

少年Aが運転席に、ブラジル人メンバーの一人が助手席に、Gさんは助手席は乗り心地が悪いからともう一人のブラジル人メンバーと共に後部座席に座った。

繫華街は金曜の夜だったので人であふれていた。

酔っ払い、若い男女、キャバ嬢、ホスト、客引き、普通の市民、ありとあらゆる夜の街を楽しむ人間でごった返している。

その中を縫うように黒塗りの車を徐行で進ませる少年A。車道にも人はたくさんおり、アルコールの影響下なのかノロノロと歩き少年Aを苛立たせた。しかもクラクションを鳴らしても避けるそぶりもないのだ。

少年A「なんでこいつらどかねえんだよ…。この時間にこの場所を黒塗りのセダンって…、どうみてもヤバイやつらが乗ってる車だろうが…。」

そこは地元でも有名なヤクザ街である。夜遊びに慣れている人間なら暗黙の了解で分かっているはずであるが、たまに飲みにくる程度のサラリーマンや社会人デビューのOL、平和ボケした大学生の連中にはそんな事情はさっぱり分からないのである。

まさに知らぬが仏というやつで、ヤクザ街を走る黒塗りのセダンが荒っぽくクラクションを鳴らしても「歩行者が優先だろ?」と言わんばかりの態度で振り返っては「どかねえよ」と言った表情を浮かべてくる始末なのである。

少年A「この野郎…。下手に出てればつけあがりやがって…。(でもヤクザから借りた車だし酔っ払いに蹴りでも入れられたら困るしな…)」

ブラジル人メンバーら「なんだよ轢いちまえよ。めんどくせえ。」

少年A「この野郎おまえら運転してねえから好き勝手言いやがって!ヤクザから借りた車で素人なんて轢けるわけねえだろ!」

するとGさんがしびれを切らして窓を開けた。

Gさん「おい!どかねえやつらは全員殺すぞ!どけ!死にたいやつだけ残れ!」

どう見ても一般人じゃないGさんの剣幕に、さすがの酔っ払い軍団もすごすごと道を開けるのであった。

Gさん「ったくどうなってんだ最近の平和ボケしたカスどもは…。」

そんなこんなで繫華街を抜けた黒塗りのセダンは、夜の街を静かに走っていく。

しばらくして高速道路に入り、車の中にあったCDを適当にかけながら楽しい夜の遠足を満喫していると、助手席のブラジル人メンバーが暇にまかせてダッシュボードを開けた。

少年A「おいおまえ勝手にダッシュボードなんか開けんなよ…。」

ブラジル人メンバー「うわなんだこれ!!おい見てよこれ!」

拳銃でも出てきたのかと思い助手席に目をやると、大量の免許証がブラジル人メンバーの太ももの上に散乱していた。

ブラジル人メンバー「なんだこれ誰の免許証だおい(笑)」

Gさん「てめえこの野郎勝手にダッシュボードなんか開けるんじゃねえ!」

少年A「なんなのこの免許証たちは…(笑)」

Gさん「知らねえよ。なんか悪い事にでも使うんじゃねえの?」

使用目的はよく分からなかったが、大量の謎の免許証がダッシュボードから出てきた。

とまあここはヤクザから借りた車の車内である。何が出てきても驚きはしない。

実は以前にも少年Aは別のヤクザの車を運転した事があったのだが、その時は車内を物色する暇がなく、意外と聴いてる音楽がJ-POPだった事くらいしか面白い事がなかったので、このダッシュボードの冒険は少し楽しい思い出として残った。

つづきはこちら

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