【ネット小説】第16セクターの人喰いボノボ | KENS/ケンズブログ
第16セクターの人喰いボノボ 第2話
第五章:逃走
黒崎は咄嗟に身を翻した。ボノボの鋭い爪が彼の肩をかすめ、鋭い痛みが走る。
「クソッ……!」
必死に逃げる黒崎。その背後で、獣の咆哮が響いた。彼は廃ビルの陰に身を隠し、震える手でカメラを構えた。レンズ越しに、ボノボが獲物を探す姿が映る。
(これは……人間じゃ勝てる相手じゃない……)
黒崎は冷静さを取り戻し、ゆっくりと後退する。しかし、その瞬間、床に散らばるガラス片を踏みつけてしまった。
キィ……ン。
音を聞きつけたボノボの赤い瞳が黒崎を捉える。
「ヤバい……!」
再び襲い掛かるボノボ。黒崎は決死の覚悟で飛び退る。彼の背後には、逃げ道となる地下トンネルが口を開けていた。
(ここしかない……!)
黒崎は闇の奥へと飛び込んだ。ボノボの咆哮が背後に響く中、彼は息を切らしながら暗闇の中を駆け抜けた。
つづく
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