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コンビニエンスストアの屋根の上 ――都市の夢を喰らう場所

怖い話、ゾッとする話
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コンビニエンスストアの屋根の上 ――都市の夢を喰らう場所

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I.誰も見ない屋根

あなたはコンビニに入る。
自動ドアが開き、白色蛍光灯の光が視神経を叩き、
レジ横のホットスナックが香りを放つ。

しかし誰も屋根を見ない。
頭上に広がる黒いアスファルトの板金、
それは 都市の見えない胃袋だ。

屋根は食べている。
雨を、電波を、月光を、そして人の思考を。


II.屋根の上に棲むもの

午前3時、コンビニの屋根に耳を澄ませると、
低周波の囁きが聞こえる。

それは風ではない。
それは雨だれではない。

ポリ袋に詰められた夢の声だ。

捨てられた記憶は透明のビニール袋に封じられ、
屋根の上で膨張し、ひび割れ、
やがて紫色のガスとなって街に溶け出す。


III.屋根の階層

屋根には階層がある。
目に見える板金は第一層。
その下には「不在の層」があり、
さらにその下には「未来の層」が眠っている。

未来の層では、まだ売られていない商品が腐敗している。
冷蔵ケースに並ぶことのない 透明な菓子パン
誰も手に取らない 砂時計入りのおにぎり

それらは永遠に賞味期限切れだ。


IV.屋根の上で夢を見る

眠れぬ者が屋根に登ると、
都市の電波が頭蓋骨に流れ込み、
奇妙なビジョンを見せてくれる。

  • ATMが笑いながら人間を引き出す
  • ガラス越しに見える雑誌がページを逆にめくる
  • 店員が同じ動作を何千回もループしている

屋根の上で夢を見る者は、
もう地上に戻れない。


V.エピローグ:コンビニは都市の心臓

コンビニはただの小売店ではない。
屋根の上は 都市の脳幹であり、
そこに集まるノイズこそが文明の鼓動だ。

次にあなたが夜中にコンビニへ行くとき、
屋根を見上げてほしい。

そこには、あなたが知らない もう一人のあなた が、
こちらを見下ろしているのだから。


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