※この話は実話を基にしたリアルな物語ですが、実在する団体や個人名を伏せるために、至る所に仮名を使っています。
ギャングのメンバーたち
翌日19時、言われた通りRタウンの入り口辺りに向かうと、悪そうな連中が7~8人ほど集まっているのが見えた。
リーダー格のスキンヘッドの姿は見えなかったが、昨日の勧誘時にいた長身で目つきの悪い男や後輩ブラジル人の姿があった。そして身長がやや低めのレスラー風の金髪短髪の姿も。
少年A「どうも、今日から集まりにくることになった〇〇っす。よろしく。」
レスラー風の金髪男「おお、ちゃんときたなおまえ。こなかったら殺そうと思ってたとこだよラッキーだな。」
少年A「まあ…正直暇でいつもフラフラしてたんで、たむろする場所が変わっただけなんで(笑)」
レスラー風の金髪男「俺はTって言うんだ。名前間違えたら殺すぞ。リーダーは横の繋がりとか言ってるけど俺はバリバリの暴走族出身だから上下関係、縦の繋がり大歓迎の男だから覚えておけよ。」
少年A「ああ、わかりました。(なるほど、リーダーとは全然違う思想のやつもいるんだな。悪い連中の集まりだしまあ当たり前か…)」
目つきの悪い長身の男「やっほ、昨日ぶり。俺はYっての。よろしくね。」
少年A「ああ、よろしく。なんか年齢近そうな感じだね。何歳?」
Y「今19。近いかもね。」
少年A「あ、同じ歳だ。いいじゃん。見ない顔だけど地元ここらへん?」
Y「いや、隣の県なんだけど、ちょっと地元にいらんなくなっちゃってさ。ちょっと前からこの街の親戚の家に引っ越してきたわけ。」
少年A「地元にいられなくなったって、なにやったんよ?」
Y「あ~、千葉で起きた〇〇事件ってニュース知らない?」
少年A「なんか知ってるような知らないような…。」
Y「一人死んでんだけど、あれの加害者側のメンバーなんよワイ」
少年A「じゃあ有名人なんだ。」
Y「まあそれでちょっと地元居づらいからさ、こっちで心機一転やりますかって事でね。一応昼は真面目に工場勤めしてんだよ。」
少年A「お~偉いじゃんちゃんと働いてるんだ!でなんでこのチームに?」
Y「いやA君と同じだよ(笑) パチンコ終って繫華街歩いてたらリーダーに声かけられて、入らないなら殺すってんでしかたなく(笑)」
少年A「あ~(笑) まあなんか楽しそうだし良かったじゃん。」
Y「ヤクザの使いっぱしりみたいな事もやらされるけど、基本はバカやってるだけだから楽しいよ。」
少年Aはなんだか良いチームに入れたような気がして、少し嬉しい気持ちになっていた。
良くみるとみな服装の系統がバラバラで、前日のように黒づくめではない。
ピンクのTシャツを着ている者もいれば、上下黒のスウェット姿の者もいる。黒を着なければいけない決まりだと思っていたのだが、意外とゆるいようだ。
しばらく色々なメンバーと談笑していると、やはり皆札付きの悪が揃っている事がわかった。
するとリーダーの勧誘の目はなかなか鋭いんだなと、少年Aは思った。
少年A「そういえばC来てないじゃん…(笑)」
いまさらであるが、前日に少年Aと一緒に勧誘を受けた友人Cの姿がないのである。彼もまた少年Aの後輩と同じくラテン系なので、時間や約束事にかなりルーズで、時間通りに来ることの方が稀なのである。
少年AがCに電話をすると、案の定「寝てた」との回答。刺すと脅されてもこの調子なのだから羨ましい。
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